マネー・ボール(The Art of Winning An Unfair Game) by Michael Lewis
ハッキリ言って永遠の野球小僧にとって必読の書です、この本は。以上!
本当は四の五の言わず読んでいただきたいんですが、より読む気にさせるために、書評なんてものを書いてみたいと思います。
メジャーリーグのオークランド・アスレチックスのGMであるビリー・ビーンに焦点を当て、貧乏球団のアスレチックスが快進撃を魅せる理由を紐解いたノンフィクションです。
もちろん、ただ紐解くだけはなく、ビリーの半生や、トレードの舞台裏、ビリーによって見出された選手の思いも臨場感溢れる筆遣いで描かれており、一気に読めてしまいます。
ビリーの手法は大きく分けて3つあります。1つは、トレードの交渉術。ペナントも一定期間を過ぎるとトレードができなくなります(日本は6月末)。そのぎりぎりになると、既にプレーオフ進出が難しい球団の高額年俸選手を安くで買い叩くという作戦です。下位球団にとっても、上位進出が厳しくなり観客も離れるなら人件費抑制をしたくなるのは当然で、その心理を上手くついています。場合によっては三角トレード(A球団がC球団の意中の選手を獲得するため、間にB球団を介在させる)も厭わないほどです。
2つ目は、新人重視&FA軽視です。所属選手がFA宣言をすると、無理に引き止めずに、その代償として入手できるドラフトの指名優先権をフル活用して即戦力の新人を確保する作戦です。将来の見通しが立ちにくいので、高校生ではなく大学生が指名の中心になります。
最後は、セイバーメトリクス(野球を統計学的手法をもって分析すること)を用いたチーム編成です。過去の野球に関する膨大なデータの回帰分析から「得点期待値」というものを設定して、これを上げるための要素を持つ選手を良い選手として定義し、そういう選手をドラフトやトレードで獲得しています。
せっかくですので、チーム編成に重視される(されない)項目をまとめてみます。
| 重要な要素 | 重要視されない要素 | |
| 野手 | 出塁率、長打率、慎重性 | 犠打、盗塁、打点、得点圏打率、失策、守備率 |
| 投手 | 与四球、奪三振、被本塁打、被長打率 | 被安打数、防御率、勝利数・セーブ |
私も思い当たる節があります。高校3年時の体育は選択制で、私はソフトボールを受講していました。一応陸上部で足が速かった私は一番を打つことが多くて、エロガッパ仲間の性触者N.G.氏はクリーンナップでした。で、内心不公平感を感じていました。というのは、私がフライを打ち上げたら普通にアウトで、彼の場合は私が暴走気味にタッチアップするので犠飛になって打率が下がらないばかりか、打点が増えるんです。当然、下位打線は運動神経がよろしくない方々が勤めるので、上位打線に戻っても塁は埋まっていないんです。この本によると出塁率重視・打点軽視になるので、これらのバイアスは消えますね(*^_^*)
もちろん、どの項目も秀でいているスター選手もいます。ただ、そういう選手は概して年俸が恐ろしく高いので、年俸の割りに重要の要素の値が高い選手、重要視されない要素の値は低いが重要な要素の値が高い選手が主なターゲットとなるわけです。
その前提として、選手の身辺調査を行い、リスクが高い選手は獲得を見送るようになっています。
また、面白いのが、ここまで書くとビリーは冷酷無比でデータだけで判断する感情の起伏が全くない人物のように思えてしまうんですが、実際は真逆で、短気な人物として知られており、逆上しないように極力試合をじかに観戦しないようにしているそうです。
では、この戦略を日本のプロ野球に取り入れるとどうなるかですが、、、ビリーの作戦はFA制度を逆手に取ったものなので、FA制度が異なる日本では上手くいかないと思われます。選手の流動性も低いですし。
けど、野球自体のルールが違うわけでもないので、基本的な選手の評価方法は適用できると思います。このサイトがよろしいかと思いますが、野手の場合は、「XR27」を降順、投手の場合は「DIPSera」を昇順にすると、いい選手順になります。なお、DIPSeraは短いイニングを全力投球できるリリーフ投手が低くなる傾向がありますのでご注意ください。
これによると、2007年度の阪神タイガースで意外に高い評価を得るのは、野口選手になります。アスレチックスに狙われないよう、全力で阻止してほしいものです(*^_^*)
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マネー・ボール (ランダムハウス講談社文庫) 著者:マイケル・ルイス |
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